6時間にも及ぶ雨と高速道路の渋滞の後、家に帰ると家は真っ暗で、塩入れの下にはメモが置いてあり、義母からは「奥の部屋にいるおばあさんの面倒を見てあげて」という一言だけが書かれていた。夫の祖母がかろうじて息をしているのを見つけ、携帯電話を取ろうとした時、義母は私の手首をつかみ、「ドアに鍵をかけて。彼らに報復するのを手伝って。彼らは私が本当は誰なのか全く知らないのよ」と囁いた。
雨と渋滞の中を6時間ぶっ通しで運転し、夫のダニエル・モーガンと暮らす家の私道に車を停めた。肩は痛み、ハンドルを握り続けたせいで手はまだこわばっていた。ただ家の中に入り、ほんの少しの間だけでも安心したかった。
もしかしたらダニエルは起きているかもしれない。もしかしたら旅はどうだったかと聞いてくれるかもしれない。そんなささやかな希望が、車から降りる私を支えていた。
しかし、家の中は真っ暗だった。
明かりはすべて消えていた。玄関灯も、窓から漏れる光もなかった。まるで廃墟のように、家はがらんとしていた。それが最初の奇妙な感覚だった。
鍵を開けて中に入った。空気はよどんでいて、まるで一日中誰もいなかったかのようだった。スーツケースを引きずって中に入ると、車輪が床に大きな音を立てた。ダニエルはいつもテレビをつけていた。彼の母親のリンダはいつもリビングにランプをつけていた。しかし今は、ただ静寂だけが漂っていた。
私は二人の名前を呼んだ。
「ダニエル?リンダ?」
返事はなかった。
胸にゆっくりと、締め付けられるような感覚が広がった。何かがおかしい。
私の名前はレイチェル・モーガン。35歳で、企業金融の仕事をしている。この家のほとんどの支払いは私がしていた。家計を支えていたのも私だった。それなのに、暗いリビングルームに立っているその瞬間、まるで自分の人生に迷い込んだような感覚に襲われた。
せめて何か手がかりがないかと、キッチンへと歩み寄った。その時、テーブルの上に塩入れで押さえられた白い紙が置いてあるのに気づいた。手を伸ばした瞬間、心臓の鼓動が速くなった。たった一枚の小さな紙が、私の結婚生活や家族について私が知っていると思っていたすべてを覆すことになるなんて、想像もしていなかった。
メモを手に取ると、すぐに夫ダニエルの乱雑な筆跡だと分かった。その隣には、彼の母親リンダの、はっきりとした丁寧な筆跡があった。二人はまるでそこに書かれていることがごく当たり前のことであるかのように、署名していた。
メッセージは短かったが、冷たかった。
頭をすっきりさせるために休暇が必要だと書いてあった。二人で出かけたので電話には出ないとのこと。そして最後に、まるで付け足しのように、奥の部屋にいる老女の面倒を見てほしいと書いてあった。
その老女はダニエルの祖母、マーガレット・ヘイルだった。
もう一度その言葉を読み返すと、指が震え始めた。祖母の様子を尋ねる言葉も、食事や薬の指示もなかった。まるで壊れた家具のように、祖母を置き去りにして出て行ったのだ。
胸の奥で何かが鋭くねじれるような感覚に襲われた。恐怖と怒りが入り混じった感情が、めまいがするほど急激に湧き上がってきた。マーガレットは3年前に脳卒中を患い、ほとんど歩くこともできず、ほとんど話すこともなかった。あらゆることを他人に頼っていた。
そして今、彼女は一人ぼっちで取り残されたのだ。
携帯電話で時間を見ると、もうすぐ真夜中だった。つまり、ダニエルとリンダはほぼ丸二日間も家を空けていることになる。二日間、水も飲んでいないのだ。 2日間、食べ物もなかった。2日間、誰の助けも得られなかった。
スーツケースを放り投げ、廊下を駆け抜けて奥の部屋へと向かった。足は重かったが、心臓は激しく鼓動していた。何が待ち受けているのか、恐ろしくてたまらなかった。
ドアノブに手を伸ばした瞬間、ある恐ろしい考えが頭の中で何度も繰り返された。
もし、もう手遅れだったら?
ドアを押し開けると、たちまち悪臭が鼻をついた。部屋は狭く暗く、窓は閉まっていて、新鮮な空気は入ってこなかった。汗と古びたシーツ、そしてもっとひどい何かの匂いがした。胃がむかむかした。
部屋の中央には、細長いベッドがあった。
その上に、マーガレット・ヘイルが横たわっていた。
彼女は、私が覚えている彼女とはまるで別人のようだった。肌は乾燥して青白く、唇はひび割れていた。胸は浅く、不規則な呼吸を繰り返していた。一瞬、彼女はもう息を引き取ったのかと思った。
私は彼女のそばに駆け寄り、その手に触れた。
冷たかった。あまりにも冷たかった。
「なんてこと…」と私はつぶやいた。
急いでキッチンに戻り、グラスに温かい水を注ぎ、スプーンを手に取った。戻ってきて、彼女の頭をそっと持ち上げ、唇の間に少しずつ水を滑らせた。最初は反応がなかった。それから弱々しく咳をして、飲み込んだ。
彼女を傷つけないように、ゆっくりと水を飲ませ続けた。砂漠を横断してきた人のように水を飲む彼女の姿を見て、涙がとめどなく流れた。
その後、タオルを持ってきて、彼女の顔と手を拭いた。一番きれいな服を見つけて着替えさせた。一つ一つの動作が、焦燥感と苦痛に満ちていた。何度も何度も同じことを考えていた。
ダニエルはどうしてこんなことをしたのだろう?
リンダはどうしてこんなことをしたのだろう?
彼女は自分の家族だったのに。
作業をしながら、罪悪感が私の心を押しつぶした。あの家を買うためにお金を稼ぐために出張に行ったのに。ダニエルの贅沢な生活を支えるために。マーガレットの面倒を見るために使うはずだったお金なのに。
私が席を外している間に、彼らは彼女を死なせようとしていた。
私は立ち上がり、助けを呼ぼうとした。彼女には病院が必要だった。医者が必要だった。誰かに助けてもらわなければならなかった。
その時、突然彼女の手が私の手首を掴んだ。
彼女の握力が強くなったのを感じて、私は凍りついた。
それは弱々しいものではなかった。
しっかりとした、揺るぎない力だった。
私は下を見て、そして見た。




